今夜は夜更かし、さらば現実

jazzとrockなどの音楽や洋画と洋画内の俳優に熱心なドイツ語を勉強している文学部生による

マンハッタンと夜更かし




ウディ・アレン監督『マンハッタン』と夜更かし。1979年。


ウディ・アレンを観ようと思ったのは、春樹村上氏が、短編集『女のいない男たち』収録の「イエスタデイ」という短編で女の子をデートに連れて行く際に「ウディ・アレンみたいなものが好きそうだと思ったから」ウディ・アレンの映画に行き、なかなかに楽しい時間を過ごせた、というくだりを読んだから、というわけではないのですが、そんなこともありつつ、『アニー・ホール』を観て冒頭の1人喋りが無性にツボで、こういうユーモア…と思ってもっと観ようと思い、ました。


『マンハッタン』の、オープニングが、本当に素晴らしい!ジョージ・ガーシュイン「ラプソディ・イン・ブルー」にのせてニューヨークが描かれます、あー、ニューヨークへ行きたい、と街への憧れを掻き立てられ、グッドミュージックに嬉しくなるのでした。


ウディ・アレンの映画を観るといつもにやにや笑ってしまいます。『アニー・ホール』の主人公も、『ミッドナイト・イン・パリ』の主人公も、この作品の主人公も、自分もインテリ風情でなんやかんやとつべこべ言いまくる男なのに、ごたくを並べる他人はエセインテリがと罵り、自分の駄目なところには、なんらかの崇高な理由があって、しかもそれは自力での解決は困難であるから、と自分のことは棚上げ、という如何ともしがたい種類の人間なのですが、しかし、それが現実にいては困るかもしれませんが、彼の映画の中で主人公たちはつべこべ言い放題、ぺらぺらしゃべりまくり。その姿が楽しくなってくる、むしろスカッとします。理屈をこねくり回している姿をみてすっきりするというのも矛盾した話ではあるのですが。


そのうざい男たちの物語を、笑えて、なにがしかの余韻を残す物語として描いてるところが、あ~また観たい、というあの感じなのでしょうか多分。